*Croquis de Paris No.731 ~ AMI 『Atelier-Musée de l’imprimerie』印刷アトリエミュージアムの工房へ ~ *
2023年3月31日10:00 AM カテゴリー:Designersdiary
かなり時間が空いてしまいました*^^*
こちら遡っての更新です♪
さてさて・・・
朝の6時半、パリの南のメトロ、ポルト・ドルレアンで集合した前回のラスト
https://www.lapage.jp/diary/24036/
☆ 田舎道をひた走ります*^^* ☆
そこからSさんと私がTさんの車に乗せてもらって1時間。
フォンテーヌブローに程近いマルゼルブという小さな街にやってきました。
連れてきてもらったのが、
Atelier-Musée de l’imprimerie を略して
AMI(アミ amiはフランス語で友達、可愛い呼び名です)
印刷アトリエミュージアム にあるアトリエ
Artegraf アートグラフという場所。
☆ お邪魔しまーす ☆
ありとあらゆる種類の印刷機がアトリエに。
新しいものを買うのではなく、使用されなくなった機械が集められていて
アートグラフの会員は自由に使って印刷できる場所になっています。
今回は会員メンバーであるTさんの紹介で特別にお邪魔させて頂きました☆
☆ 集められた様々な種類の印刷機たち・・・ ☆
活版、銅版、石板、フォトグラビュール、オフセット、シルクスクリーンetc…
なんでもある空間^^
実家の大工だったおじいちゃんの仕事場にあった
製材の機械とどことなく同じ風貌で
Tさんから聞かせてもらっていた
ここで仕事をされているおじいちゃん達の存在も相まって
なんだか居心地が良いです。
☆ 金属で出来た文字版と、木で出来た文字版 ☆
これを書くにあたって、もう一度おさらいしたんですけど、
本当に沢山の印刷方法があるんですね。
ここに来ることになったのは、写真家であるTさんの、
パリのギャラリーでの展示会で作品の印刷方法を聞いていて、
実際の現場見てみます?と誘って頂いたのがきっかけ。
その時見た作品が、今まで見ていた写真家さん達のものと全く違う質感だったので
これってどういうもの???と、かなりマニアックな話を伺っていたのでした。
☆ まずは版作り。版を洗う機械は日本製でした。 ☆
その中の一つ、特殊な『雁皮(がんぴ)刷り』
というものを目の前で見せてもらったのですが・・・
自分でもびっくり
一番大事なところで写真撮ってなくて^^;
朝4時半起きだったため一瞬落ちたのか(ひどい)
あまりに大事なシーンは秘密厳守だわって思う気持ちが働いたのか笑
まま、とにかく
↑まずはTさんが写真データからプリンターで透明なシートに印刷して
用意してきた原稿を、フォトポリマー加工された銅板に感光させて
硬化されなかった部分を洗い落とします。
これで凹版の完成。
☆ 上の段と下の段の間、プレスにかける前の大事な場所が抜けています;; ☆
そこに練った黒のインクをローラーでのせて、
不織布で拭き取って・・・
(→ここから大事な箇所が抜けちゃってるのですが)
水の中に版を入れて、貴重な薄い雁皮紙を水面に浮かせて
下から版の面にピッタリくるように雁皮紙をすくいあげます。
あとは水分を軽く拭き取って、
糊を薄めたものを雁皮に塗り(←ここはあったかどうか記憶薄)
湿らせておいた台紙をセットしてプレスすれば
雁皮刷りの完成☆
雁皮刷りに関してはこちらの
「版画百科事典」さんのサイトを参考にさせて頂きました。
☆ ここからはブノワさんと ☆
現物を間近で見させてもらって納得。
普通に写真の用紙にプリントしたものとは全く違って
極々薄い和紙の雁皮に油性のインクが吸われて
さらに台紙に乗せられることで、まるで手描きされたかのような
僅かな厚みと、揺らぎのような、人の心に響く福よかさが現れるのですね。
感動の瞬間でした。やっぱり生の経験は良いですね。
☆ 裏の扉から、ミュージアムの中へ。すごーい ☆
さてさて、ここからはお爺ちゃんのひとり、
ブノワさんがこの建物を案内してくださいます。
一つ上の写真では、
文字版の整理のされ方
活版印刷で文字を組む植字の作業がしやすいように、フランス語で使われやすい
「e」などがこの場所に置かれていて、量も多くある。とか、
文字版の高さは違う素材でも全て決まっていて
23.56mmだとか、
La Disparition ラ・ディスパリシヨン、というこの本は、
「e」を使わずに書かれた傑作
有名なジョルジュ・ペレックの作品だよ。とか
ふふふ、楽しい^^
☆ 昔のものなので大きな音がしますが、なんだか可愛いですね。☆
ミュージアムの裏の扉から中へ。
大きなマシーンを実際動かして見せて頂きました。
どこがどうなってるんだか^^;
でも愛らしいですね。
☆ モノタイプとライノタイプがあります ☆
自動鋳植機のコーナー♪
今まで一つ一つ活字を組んでいたものが、
自動で活字を鋳造して植字(文字を組む)ができるように。
モノタイプは
タイプされた文字が一文字づつ活字となって鋳造される機械。
ライノタイプは
タイプされた一行分の文章が、そのまま鋳造されて出てくる機械。
☆ ブノワさんありがとう〜 ☆
こちらはライノタイプ。
まずは印刷する文章を読みながらタイピングします。
すると、オルゴールと同じように穴が空いたリボンでが出来上がります。
それを鋳植機にセットすると、打たれている内容通りに
活字の型が用意されて、そこに鉛が流し込まれて
鉛は一瞬で固まるので、すぐに一行分の活字が出てくる。
それを一ページ分をまとめて・・・
☆ 本が折り畳みだった時代のもの。クラシックで美しいです。☆
こうして文章を書き起こすことで、後から知ったのですが、
いわゆるフォント、書体として選んで使っているものって
モノタイプ社とライノタイプ社のものが結構あって
自由に印刷、気軽に出版なんかもできるようになった時代ですが、
今も私たちはお世話になっているのですね*^^*
自動鋳植機に関してはこちらの「アソボアド」さんのサイトが
詳しくて改めて勉強になりました。
☆ リトグラフの版。扱う人は重くて大変そうですが、格好いいです。☆
こちらはリトグラフのコーナー
版がLithosリト(ギリシャ語で石の意味)石で出来ているものですね。
こちらは今までの凹凸を利用した印刷とは違って
平版。平らなんですよね。
それでどうやって印刷できるのかって?
いやぁほんと、印刷の世界は深いです。。。
リトグラフではないですが、
この後同じ平板のオフセット印刷のお手伝いをさせて頂きました。
その様子はまた次回に☆
A la semaine prochaine
☆MUNEKO☆
☆MUNEKO☆