*Croquis de Paris No.743 ~ サンジェルマン・アン・レー、モーリス・ドニの世界 ~ *
2023年6月23日10:00 AM カテゴリー:Designersdiary
まさかこんな場所に来れるなんて。
☆ 想像もしていなかった場所へ ☆
サンジェルマン・アン・レーのアートマルシェで写真家の櫻井さんと話していて、
そういえば近所にモーリス・ドニの美術館があるよ、と。
!・・・そうでした。
前に調べて、こんなところにドニの美術館がって思っていたのに
すっかり忘れていたところにこの言葉を聞いて、ドキドキ。
☆ モーリス・ドニが1914年に手に入れて改修し実際住んでいた家 ☆
美大の学生で油絵を描いていた頃、
一番好きな作家さんはモーリス・ドニだったんです。
ドニの作品の中でも惹かれたのは、森の中にいる人や、修道女であろう絵。
それがここだったとは、
そしてまさかその場所にこうやって来る事になるとは。
☆ 建物自体の構造が面白く、一瞬自分が何階にいるのか迷います。 ☆
Le prieuré ル・プリウレ
ドニが『小修道院』と呼んだこの場所は、
1914年に手に入れて、パリのシャンゼリゼ劇場の設計で知られる建築家
オーギュスト・ペレに依頼して修復してもらったもの。
ドニは家族と共に終生の創作の場としたそう。
家族・家・芸術・そしてキリスト教の信仰をテーマとして好んだドニ。
ナビ派として知られている作品も、
私がドニの絵として教科書や日本の美術館で見て来たものはほんの一部で、
もっともっと広がる世界がありました。
☆ 表と裏に描かれた絵 ☆
『ナビ』とはヘブライ語で預言者。
その名前は自分達が新しい表現の形を作り出すという意思の表れだったのですね。
☆ 自分がここにいる事の幸せ ☆
理論家で、熱心なカトリック信者のドニ。
1890年に発表した論文の中での
「絵画が軍馬や裸婦や何らかの逸話である以前に、本質的に、ある順序で
集められた色彩で覆われた平坦な表面であることを、思い起こすべきである」
という有名な言葉や、
☆ 私がこの人の絵に惹かれたのはこの理論の上にあったものだからなんだと今更感動 ☆
1898年、芸術の源泉は画家の個性にあるという制作の理論を発表。その中で
「芸術作品を創造するものは、画家の力であり、意思である」と言っていて、
☆ こんなに意思を持って行動されていた人とは知りませんでした ☆
後に、アカデミズムについて、
しきたりと小手先の技術のために情感を犠牲にするのであるからこれに反対すると言い、
また、写実主義については散文であって「彼の求める音楽がないからこれにも反対する」
と言ったそう。
☆ キリストの墓を訪れる聖女たち ☆
いやはや、いつもこうやってまとめながら学ぶ事になるのですが、
ぼんやり好きって思っていたモーリス・ドニという人物の作品が
こんなにも意思を持って描かれて創られていたことに納得と感動で。
その内容に共感、自分が惹かれる理由もよく分かりました。。。
☆ 礼拝堂の正面のステンドグラス ☆
モーリス・ドニの美術館の見どころのひとつに礼拝堂があって、
作品に多く登場している妻のマルタが1919年に亡くなり、
ドニはマルタのための礼拝堂を描いている、とあるので、
この礼拝堂がマルタの死をきっかけに創られたのかなと。
☆ 優しくて落ち着く礼拝堂 ☆
礼拝堂の設計は建物の修復をお願いした建築家のオーギュスト・ペレに依頼
自身は内装や天井のデザインをする一方で、
華やかなステンドグラスや壁画は多くの芸術家に協力を仰いだのだそう。
☆ 室内全てがドニの世界 ☆
「色とは宝石や金同様、ひとつの素材として見るべきものである」
の考えを持つドニらしい、華やかな色に溢れたステンドグラスに内装。
描かれている人物は、ドニと馴染みのある人々を表していて
家族・家・芸術を愛し、キリスト教を信仰した、
まさにドニの人柄そのもの。
☆ 自分の手によるものだけでなく、室内装飾を手がけていたドニらしい作品 ☆
他の作家さんによる制作によるドニの作品も。。。
多くの室内装飾を手がけたドニ。
美術館の2階には、とある邸宅のために制作された連作の壁画
『永遠の春』がそのまま組み立てられていて、
しばしその空間に身を置いて眺めていました。
☆ こじんまりとした空間に一周、柔らかな色合いで描かれた壁画に心が落ち着きます ☆
女性の幸せな一生のシーンを表しているんだって。
娘が隣で教えてくれる。
地上の楽園に女性が聖母として描かれているらしい。
☆ もう一度行きたい美術館です ☆
そういえば、1階でもふと、
ねぇねぇ、omniscience オムニシオンスって知ってる?
とかも言ってたな。
全知、神の目線
彼女のちょっとした視点とセリフも良かったな。。。
☆ お庭はまた今度に ☆
こうやって書いてるとまた行きたくなってきます*^^*
今度はゆっくりお庭を探検したいな。
A la semaine prochaine
☆MUNEKO☆
☆MUNEKO☆